契約の愛で結ばれたのは、まさかの敏腕CEO!?~独占欲滾るスパダリは極上溺愛で囲い離さない~
「あー……やっと帰れる。待ち時間の方が長かったなー」

 結局修正書類を精算し、仕事を終える頃には20時をとうに過ぎていた。

(定時で帰れるからこの仕事をしているのにな。あーあ……)

 トボトボと夜の街を歩く。
 いつもは夕方に通る道も、暗いというだけで違って見えた。

(この細道、夕方だと自転車が爆走していて危険なのよね。今日はのんびり歩けるわ。……ん?) 

 疲れた身体を引きずるようにゆっくり歩いていると、自分とは別の足音が聞こえてきた。

 コツ……コツ……。

 まるで茉莉花と歩調を合わせているかのようだ。

(抜かしたいのかな? 遅くて申し訳ない)

 端によってスマホを見ながら立ち止まる。
 人ひとりが十分通れるスペースを作ったはずだった。

 それなのに――。

(あれ?)

 足音がピタリと止まったのだ。
 チラリと後ろを見ても誰もいない。

 不審に思いながら再び歩き始める。
 すると、足音が再び聞こえ始めた。

(これ、ヤバいかも)

 足を早めると、足音もついてくるように早まる。

(ついてきてる!)

 そう思った瞬間、茉莉花は走り出した。



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