早乙女くんがヒロイン!?
振り返ると蹴り飛ばされたドーナツはいつの間にか姫野のところにいて泣いてる姫野はドーナツを抱きしめていた。
……姫野に声を掛けて大丈夫なのか?
怖い思いした後に俺が話し掛けたら余計に怖がらせるのではないだろうか…?
色々考えて少し離れたところから声を掛ける事にした。
「……へ、平気か?」
そう声を掛けるとコクンッと頷いて俺を見た。
「ヒックッ……ありがとうございます…ふぅッ」
「あー…俺は姫野に危害加えたりしないから安心して欲しいっつーか……えーっと」
「へ…?どうして名前…」
「あぁあぁ…俺、隣りの席の…覚えてるか分かんねぇけど」
そう言ってマスクを外すと姫野はハッとした顔をした。
「わあぁ…嘘……助けてくれてありがとう……」
「クゥーン」
「わんちゃんもありがとう…そうだ、さっき蹴られたところ大丈夫かな!?」
姫野は心配そうにドーナツの蹴られたところを優しく摩る。
「バウッバウッ!」
「あー…元気そうだけど近くにいつも行く動物病院あるから連れてくよ」
「私も一緒に行ってもいい?」
「それは良いけど…帰って休んだ方がいいんじゃねぇの?」
「怖かったけど…今家帰っても一人で……早乙女君とわんちゃんといた方が安心出来るから…」
そう言われると胸がぶわっと熱くなる…
姫野に言われたからというのもあるが、そんな事言われたの初めてで、正直嬉しかった。