早乙女くんがヒロイン!?
「あーっと…じゃあ、なるべく早く姫野の事も家まで送る……立てるか?」
「うん…」
姫野は一度ドーナツを離すと、はだけた胸がこぼれるように出てきて俺は急いで姫野のシャツを引っ張って隠した。
「わあっ!ごめんねっ…えっと…さっき無理やり引っ張られてボタン壊れちゃって…」
「ここ……押さえてて」
姫野にシャツを押さえてもらい、俺はパーカーを脱いで姫野に着せる。
姫野の一瞬見えた胸の事は忘れろ!妹のありすやドーナツの着替えをしてやってると思え!こんな時に下心を絶対出すな!
心の中で自分を鼓舞しながらパーカーの腕を通させてファスナーを上げて着せてやって姫野を見ると、ぶかぶかの俺のパーカーを着てる姿がありすやドーナツを見た時の感情と全然違う感情が溢れててくる。
「うぅ…何から何までありがとう…」
「いや…ごめん……少し触ったかもしれない…」
「ううんっ…あっ、わんちゃん抱っこしてもいい?」
「良いけど、結構重いぞ?」
「平気…助けてくれたのに痛い思いさせちゃってごめんね」
「くぅん」
ドーナツ…平気そうに見えたけど、やっぱり怪我したのか…?
もう少し早く状況把握出来てればアイツがドーナツを蹴る前に取り押さえられたのに…悔しい。
姫野がドーナツを抱っこしてくれて、動物病院に向かって歩き始めた。