遣らずの雨 下
『そう言えばこの間来たお前の
知り合いから家具の注文が入った。』
えっ?
信号待ちした車内で、凪がハンドルに
もたれながら私の方を見ると、少し
体が強張り両手に力が入る
「へぇ‥‥ッ‥そ、そうなんだ‥‥
良かったね。」
酒向さん?
それとも紫乃さん?
名古屋にだって家具屋さんなんてあるのに、どうしてわざわざ凪に注文を
するのだろう?
どちらにしろ、正直言ってもう会うのは
避けたいのに‥‥
『1月後納品で
ダイニングテーブルと椅子2脚。』
ドクン
2脚って事は一緒に住むのかな‥‥。
紫乃さんには酒向さんしかいない‥‥。
それは納得してここに来たじゃない。
「忙しくなるね。お弁当プラス夜食
も作っていい?凪は放っておくと
食べないから。」
視線が気になりつつも、青になった
為前を向いた凪に小さく溜息が出る
あの時の酒向さんとの会話‥‥
多分凪に聞こえてたよね‥‥‥
あんなに動揺したら、普通の知り合い
ではないって思われたはずなのに、凪は
相変わらず必要以上に何も聞いて来ない
今だに工房内は立ち入り禁止で、
工房は言わば凪の聖域のような
場所らしく、育ててくれた祖父母が
残してくれた大切な場所だと羽鳥さんが
チラッと言っていた事がある。
『簡単につまめるものでいいよ。
忙しいと食う時間ないけど、お前のは
ちゃんと食べるから。』
「うん‥ありがとう‥そうするね。」
酒向さんが最後にハグしてくれた
あの温もりがいつまで経っても消えない
私は、あれ以来夜がなかなか眠れなく
なっていた。
疲れてるからウトウトはするものの、
そこからは寝付けなくて、本を読んだり
星を眺めたりしている
前は抱き締めてもらうとあんなに
眠れていたのに、あの日ハグされた
事で押さえていた気持ちが出てしまって
いた
『お前‥‥‥‥今日飲むなよ。』
「えっ?‥‥うん、飲まないよ。」
飲めるものなら飲んで酔ってそのまま
何もかも忘れて眠りにつきたい‥‥
朝目覚めたら全て忘れてるくらいに
なればいいのに‥‥
帰りは代行サービスを頼むみたいで、
凪は今日は飲みたいらしい
私が変わってあげれたらいいんだけど、
いつも申し訳ないな‥‥
知り合いから家具の注文が入った。』
えっ?
信号待ちした車内で、凪がハンドルに
もたれながら私の方を見ると、少し
体が強張り両手に力が入る
「へぇ‥‥ッ‥そ、そうなんだ‥‥
良かったね。」
酒向さん?
それとも紫乃さん?
名古屋にだって家具屋さんなんてあるのに、どうしてわざわざ凪に注文を
するのだろう?
どちらにしろ、正直言ってもう会うのは
避けたいのに‥‥
『1月後納品で
ダイニングテーブルと椅子2脚。』
ドクン
2脚って事は一緒に住むのかな‥‥。
紫乃さんには酒向さんしかいない‥‥。
それは納得してここに来たじゃない。
「忙しくなるね。お弁当プラス夜食
も作っていい?凪は放っておくと
食べないから。」
視線が気になりつつも、青になった
為前を向いた凪に小さく溜息が出る
あの時の酒向さんとの会話‥‥
多分凪に聞こえてたよね‥‥‥
あんなに動揺したら、普通の知り合い
ではないって思われたはずなのに、凪は
相変わらず必要以上に何も聞いて来ない
今だに工房内は立ち入り禁止で、
工房は言わば凪の聖域のような
場所らしく、育ててくれた祖父母が
残してくれた大切な場所だと羽鳥さんが
チラッと言っていた事がある。
『簡単につまめるものでいいよ。
忙しいと食う時間ないけど、お前のは
ちゃんと食べるから。』
「うん‥ありがとう‥そうするね。」
酒向さんが最後にハグしてくれた
あの温もりがいつまで経っても消えない
私は、あれ以来夜がなかなか眠れなく
なっていた。
疲れてるからウトウトはするものの、
そこからは寝付けなくて、本を読んだり
星を眺めたりしている
前は抱き締めてもらうとあんなに
眠れていたのに、あの日ハグされた
事で押さえていた気持ちが出てしまって
いた
『お前‥‥‥‥今日飲むなよ。』
「えっ?‥‥うん、飲まないよ。」
飲めるものなら飲んで酔ってそのまま
何もかも忘れて眠りにつきたい‥‥
朝目覚めたら全て忘れてるくらいに
なればいいのに‥‥
帰りは代行サービスを頼むみたいで、
凪は今日は飲みたいらしい
私が変わってあげれたらいいんだけど、
いつも申し訳ないな‥‥