幼なじみは、私だけに甘い番犬

 私は跪くようにしゃがみ込んで、玄希の傷痕にキスをした。

 もう痛みはないのは分かってる。
 分かってるんだけど……。

 玄希が男友達にも私にも気を遣って見せないようにしていることが、私の心を抉るんだよ。
 だって、玄希は何も悪くない。
 病気になったことも。
 傷を負ったことも。
 隠すようなことじゃないし、後ろめたい気持ちにならなくていいのに。

 だからせめて……。
 私の前だけでは『何てことないんだ』と思って欲しくて。

「お前なぁ……」

 傷痕を撫でるみたいに、唇を這わせて。
『もう気にしなくていいんだよ』と伝えたかった。

 L字型の傷痕に唇を這わせ終わった私は、ゆっくりと立ちあがって玄希に抱きついた。

「私の前ではもう隠さなくていいからね」
「っ……」
「前の玄希も、今の玄希も。玄希は玄希だし、私にとったら大事な玄希なんだから」

 玄希の胸に顔を埋めると、心地いい鼓動が伝わって来た。
 ちゃんと生きてる。
 私の大好きな玄希が。

「ったく、こっちは必死に我慢してるってのに」
「……ん?」
「先に煽ったのはお前だからな」
「……んっ」

 玄希が首筋にキスを落としたと思ったら、そのままゆっくりと這い下りてゆく。
 玄希を抱きしめていたはずなのに、形勢逆転とばかりに抱きしめられて逃げ場を失ってしまった。
 しかも、玄希の腕から逃れようと体を捩った隙をとらえられ、上着のファスナーが下ろされた。

「んっ?!」
「続きは家に帰ったらな? 逃がせねーから、覚悟しろよ」

 あるかないか分からぬほどの胸の谷間にキスマークをつけた玄希は、不敵な笑みを浮かべながらぺろっと下唇を舐めた。
 琴ちゃんや他の子たちに見られたら困るから家に帰りたいけれど、帰ったら帰ったで、問題山積みじゃない!

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