青空の下の約束

HR(ホームルーム)が終(お)わって、一限目(いちげんめ)の数学(すうがく)に入(はい)った。

高等部(こうとうぶ)も中等部(ちゅうとうぶ)と同(おな)じで、教科(きょうか)ごとに先生(せんせい)が違(ちが)うらしい。

それはいいんだけど…。

「はい、授業(じゅぎょう)始(はじ)めるぞー！教科書(きょうかしょ)とノート出(だ)せー」

数学(すうがく)の先生(せんせい)が……男(おとこ)の先生(せんせい)……(泣(なき))

当(あ)てられたら最悪(さいあく)だな…。

ビクビクしながらできるだけ気配(けはい)を消(け)して授業(じゅぎょう)を受(う)けていたら…。

「じゃあこの問題(もんだい)を…如月(きさらぎ)！答(こた)えてみよう！」

………ん？

今私(いまわたし)が当(あ)てられた！？

さ、最悪(さいあく)！

「え〜っと……その…。」

しどろもどろしていると…。

『うわっあの子自己紹介(こじこしょうかい)の時(とき)の陰(いん)キャじゃん』

『なんかやばくね？ｗ大丈夫(だいじょうぶ)そ？ｗｗ』

と噂(うわさ)する声(こえ)がまた広(ひろ)がった。

ど、どーしよー！

頭(あたま)が真(ま)っ白(しろ)になった。

その時(とき)…

「そーやってコソコソ悪口言(わるぐちい)うのやめろよ！」

一ノ瀬(いちのせ)くんがしびれを切(き)らしたかのように声(こえ)を荒(あら)げた。

怒(おこ)っている。

私(わたし)は目(め)を見開(みひら)いた。

あの明(あか)るくてフレンドリーだった一ノ瀬(いちのせ)くんが…怒(おこ)っ…た…？

クラスのみんなもビックリしていた。

「そーだよ！発表(はっぴょう)は誰(だれ)でも緊張(きんちょう)するものでしょ？まだ話(はな)したことも無(な)い子(こ)を決(き)めつけちゃダメだよ！」

あの子(こ)は確(たし)か…。神楽咲良(かぐらさくら)さん……？

二人(ふたり)ともどうして私(わたし)のことを……？

「如月(きさらぎ)さんも嫌(いや)だって思(おも)ってるなら、言(い)い返(かえ)しても良(い)いんだよ！」

急(きゅう)に一ノ瀬(いちのせ)くんが私(わたし)に話(はな)しかけてきた。

「え……ご、ごめ……なさ……」

私(わたし)が小(ちい)さな声(こえ)で言(い)うと、一ノ瀬(いちのせ)くんがはっと我(われ)に返(かえ)った。

「あっ急(きゅう)に怒(おこ)ってごめん！怖(こわ)かったよね！？」

「う…ううん。大丈夫(だいじょうぶ)…。あ、ありがと…！」

私(わたし)、男子苦手(だんしにがて)だけど、一ノ瀬(いちのせ)くんは他(ほか)の男子(だんし)とはちょっと違(ちが)う……？

「あ、神楽(かぐら)さんも……。ありがとう。」

「んーん！気(き)にしないで！私(わたし)、困(こま)ってる人(ひと)ほっとけない性格(せいかく)なんだよね！おせっかいだったらごめん！」

あ、明(あか)るい…。でも、今(いま)はこういう人(ひと)がいて助(たす)かる…！

それに…。今(いま)、男子(だんし)と会話(かいわ)できた！？

………え？