俺様同期の執着愛
 何杯目かのグラスを空にした頃、私はすっかり酔ってしまって柚葵に愚痴を吐き出していた。
 柚葵は何も言わずに私の話を聞いてくれている。

「なんで私、まったく気づかなかったんだろ」
「それはまあ、仕方ねーだろ」
「よく考えてみたらおかしいこといっぱいあったの。私の誕生日は仕事だから無理とか、旅行は遠出になるから無理とか、クリスマスもバレンタインも無理とか。仕事が忙しいから理解してくれるよねって優しく頭撫でられて信用しきっていたの」
「そうか。イベントはぜんぶ子どものためね」
「ていうか、子どもがいるなら言ってよね。そうしたらちゃんと理解してあげられたかもしれないのに」

 柚葵が空になったグラスをとんっとテーブルに置いて、となりの私をじっと見てきた。

「ほんとに?」
「えっ?」
「ほんとに武本さんがバツイチ子持ちだと知って付き合える?」
「えっと……」

 そう言われたら、どうだっただろう?
 
「お前にそんな勇気があるとは思えない」
「何よそれ」
「お前さ、入社したばっかで同期飲みしたとき言ってたじゃん。気軽に彼氏作れないって。大学でも付き合えそうで付き合えなかったって」
「……うん」

 まあ、大学のときは二股かけられていたことが発覚して、お泊まりデート直前で別れることになったんだけど。
 そのせいで男の人と出会えてもなかなか信用できなくて、付き合うことにすごく慎重になっていた。

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