俺様同期の執着愛
「そういえば、以前はそんなことも言っていたね。でも、少し自分を見つめ直してみたんだ」
「はぁ……」
「いくらなんでも口を利かないというのは失礼だったかなと」

 私は「そうですか」と微妙な反応をしながら、さっさと自販機でコーヒーを注文した。
 取り出し口のカップにコーヒーが注がれていく時間がやけに長く感じる。
 さっきまで他に人がいたのに、立ち去ってしまったのか、私たち以外に誰もいない。
 きっと、この人は誰もいなくなったことを見計らって私に声をかけてきたのだろう。
 私も早くオフィスに戻ろう。

 そわそわする気持ちを抑えながら、ひたすら無言を貫く。
 コーヒーが出来上がる時間がやけに長く感じる。
 恭一さんはじっと私を見つめている。

「俺は仕事に私情を挟みたくない人間だから、仕方なかったんだ」

 まだ言い訳が続いていたのか、と呆れてため息が出そうになった。
 私情を挟みたくないなら、今そんな話をしないでほしいんだけど。

「では、私も私情を挟みたくないので、これで失礼しますね」

 私は取り出し口からコーヒーを取り出すと、真顔で彼にそう言った。

< 124 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop