俺様同期の執着愛
「出禁?」

 数日後、そんな噂が耳に入ってきた。
 どうやら恭一さんが取引先から注意を受け、事実上の出入り禁止になったらしい。
 詳しい経緯を知っている人はいなかったけれど。

「うちの女性社員にちょっかいかけるから、さすがに要注意人物になってたみたいよ」
「マチアプのことも噂になってたしね」
「綾芽も変な噂流されてたけど、これで安心だね」

 同僚たちは口々にそう言って笑っていた。
 私は曖昧に笑い返しながら、胸の奥がざわついた。
 嘘みたいにあっけなかった。

 昼休みにその話を柚葵にしたときだった。

「ああ。俺が噂を流したから」

 さらりとした口調で告げられ、思わず声が裏返る。

「あんただったの?」
「俺は事実をそのまま言っただけ。あとは勝手に広まった」

 まさか、柚葵がそんなふうに動いてくれていたなんて、全然気づかなかった。
 これでもう、私を含めて彼に絡まれる女性社員はいなくなるだろう。

「これでもう、お前がヤツに絡まれることはないだろう」

 柚葵の言葉に思わず反応した。

「え? 私のために?」
「他に理由ある?」

 胸の奥が一気に熱くなる。
 言葉が詰まり、返事もできないまま彼を見上げるしかなかった。
 けれど柚葵は、それ以上なにも言わず、さっさと立ち去ってしまった。

 どうしよう。なぜか鼓動が落ち着かない。

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