俺様同期の執着愛
「かんぱーい!」
「おつかれさまー!」

 広い食事会場で全員が一斉にビールを掲げ、声を上げる。
 乾杯のあとのひと口が最高に美味しい。
 そして目の前にはジンギスカンの鍋の上で肉と野菜がいっぱい焼けている。
 となりの同期女子に声をかけられた。

「綾芽、ラム大丈夫?」
「うん、美味しいよ」

 なんせビールに合うんだわ。初めて食べたけどこれ最高じゃないですかね。
 ええ、目の前に柚葵がいなければ……。

 大テーブルにこれだけ人数がいるのに、どうして私の前に座るかなあ?
 私が無言でいると、柚葵は周囲の女子たちに絡まれていた。

「ちょっとお、柚葵、自分だけ食べないでよ」
「お前らがおっせぇから」
「気遣いが足りないわよ。そんなんじゃモテないぞぉ」
「モテなくて結構」

 女子たちと漫才みたいなやりとりしている彼を、私はビールを飲みながら眺めている。
 彼女たちにわいわい責め立てられている柚葵は、ぶっきらぼうに言い放つ。

「お前らが知らないだけで、好きな女には優しくするよ。俺は」

 女子たちがきゃーっと声を上げた。

「それって彼女だけ特別扱いする俺カッコイイみたいな?」
「みんなに優しくしなさいよー」
「柚葵ってどんな子と付き合うんだろ」

 ど、どうしよう。話に入れない。
 私だって聞きたい。
 柚葵がどんな子と付き合いたいのか。

 ていうか、なんでこんなにドキドキするの。
 緊張で手が震える。落ち着け私、冷静になれ。

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