俺様同期の執着愛
 俺が女物の指輪を見ていると、店員がにこにこしながら近づいてきた。

「彼女さんへプレゼントですか?」
「ええ、まあ」
「こちらは今年の新作でございます。とても人気なんですよ」

 ピンクゴールドのリングだ。2本の線が絡み合っているようなデザインで真ん中にダイヤモンドが一つ。
 値段を見て目を見開く。

 ¥500,000-

「今なら少し割引もできますから」

 店員の言葉に、特に何も考えずに訊いてみる。

「いくらになりますか?」
「40までは落とせます」
「へえ」

 意外と安いんだな。
 親父が給料3カ月分だと言っていたが、あれは嘘か?

 スマホを取り出して指輪の平均購入金額を調べてみたら、ゼ〇シイっていうサイトに書いてあった。
 平均金額20~40万。
 おお、ちょうどいいな。

 いやしかし、綾芽の好みもあるしな……。
 あいつ、こういうの好きだろうか?
 事前に調査しないとだめだな。

「ありがとうございます。彼女の好みを聞いてからまた来ます」

 そう言うと、店員はパンフレットをたくさんくれた。
 ついでに挙式会場も紹介してくれたので、とりあえず受けとっておいた。

「……これ、今、必要か?」

 疑問に思ったものの、店の前で立ち止まり、パンフレットを一通りチェックしてしまった。

< 164 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop