俺様同期の執着愛
 とりあえず訊かれた質問に答えたら、スタッフは条件に合う物件を見せてくれた。
 その中で目に留まったのは3LDKの新築マンションだ。
 管理費と駐車場代が結構するが、会社からも比較的近いし、便利だ。
 オートロック付きで、エントランスが広々としている。

 今の家賃よりだいぶ高いが、払えない金額ではないか。

「近くに保育園と幼稚園があるんですよ。小学校も近いのでファミリー向けにぴったりなんです」
「……そうですか」

 でも俺、子ども、いないけど。

 ふと斜め上に目線を向けると、そこに綾芽が子どもを抱いている姿がぼんやり見えた。
 視線をスタッフに戻した俺は、おもむろに質問した。

「公園とか、ありますか?」
「ありますよ。近くに自然の森公園っていう広い公園があるんです。そこではBBQもできる施設があるので、暖かい時期はとても賑わっているんです」
「それ、いいですね」
「はい。もう特にお子様連れに大人気の物件で、すでに半分埋まっているんです。あ、もちろん新婚さんにも大変人気なんですよー」
「管理費、結構かかりますね。駐車場代も。新築だからか」
「そうですね。もし気になるようでしたら、こちらもご紹介できますよ。ただいま分譲中なんです!」

 店員の声のトーンが高くなった。
 紹介されたのは土地だった。

 家を建てろと。

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