俺様同期の執着愛
 綾芽の手を引いて、ゆっくりと立ちあがる。
 そして、じっと彼女の顔を見つめた。
 
「体調、大丈夫か? さっき無理してたんじゃ?」
「ちょっとお腹痛いけど、薬が効いて楽になったから」

 俺にはよくわかんねーけど、大変なんだろう。
 姉ちゃんがよくこういうときの女は最高に労わって姫のような扱いをしろと言っていた。
 それくらい辛いらしい。

 でも、綾芽はまったくそんな素振りを見せなかった。
 だから俺も気づけなかった。

「キャンセルしてもよかったのに」
「ううん。だって、私が柚葵とデートしたかったの。今日はどうしても、一緒にいたかった。ずっと楽しみにしてたの」

 か、可愛いかよ、綾芽。健気で可愛すぎる!
 無性にいじらしくなって、俺は彼女の髪を撫でた。

「痛いなら俺に言ってよ。お前の痛み、俺にも教えて」

 綾芽がつらい目に遭うのは嫌だ。
 綾芽が苦しむ姿は見たくない。

「でも毎月あることだから。わざわざ愚痴を言っても仕方ないよ」
「いいじゃん。言ってよ。我慢しなくていいよ。なんか温まるものでも飲むか?」

 そう言うと、綾芽はふふっと笑った。

「そんなこと言う男の人っているんだ。ちょっとびっくりした」
「え? 俺、変なこと言った?」
「ううん。すごく嬉しいこと言ってくれる。ありがとう」
「早く帰って温まろうか」
「……うん」

 俺は綾芽の手を握ったまま、なるべく歩幅を小さくして、ゆっくり歩いた。
 今日は少し、綾芽の体が小さく見えて、思いきり包み込んで守ってやりたいと思った。

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