俺様同期の執着愛
 放心状態でいると、綾芽は恥ずかしそうに頬を赤らめながら告げた。

「ごめんね。もっと早く言えばよかったのに……予定ではもう少しあとなんだけど、体調崩しちゃったせいかな……早く来ちゃって」

 綾芽は困惑の表情で見上げながら、頭を下げた。

「せっかく付き合い始めたのに、ずっとご無沙汰で……柚葵には申し訳ないって思ってたんだけど、今日泊まってもできないから……」

 その意味をようやく理解して、安堵のあまり力が抜けた。
 思わず膝を折ってしゃがみ込む。
 すると、綾芽も慌ててしゃがみ、俺の肩に手を乗せた。

「ご、ごめん。そんな落ち込むなんて……でも、その気持ちわかる。ほんとにごめん」

 必死に謝る綾芽を見て、俺は思わず笑いが洩れた。
 そして、顔を上げると綾芽の頭を撫でながら言った。

「落ち込んでないよ。いや、正直さっきは勘違いしてびっくりしたけど。なんだ、そっか。そんなことか。よかった」
「えっ……」
「はぁー……そんなこと、いいって。俺、お前がいるだけで幸せだもん」
「……柚葵」

 そりゃ、できないのはそれなりにショックだが。待てが長すぎて。
 それでも、綾芽を失うよりよっぽどマシ。

「別れを告げられるのかと思った」
「ち、違うよ。あ、でも勘違いさせちゃったね。ごめん」
「もう謝るなって。俺も気にしすぎた」

 綾芽が好きすぎるあまり、ちょっとしたことに敏感になってしまう。

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