俺様同期の執着愛
【柚葵のターン】

 神社で願いごととか、久しぶりなんだが。

 子供の頃はだいたい「サッカー上手くなれますよーに」とか「レギュラーになれますよーに」とか「強くなれますよーに」とかそんなことだった。

 社会人1年目は「同期の女子(綾芽)と仲良くなれますよーに」だ。
 社会人2年目は「同期の女子(綾芽)が俺の気持ちに気づきますよーに」だ。
 社会人3年目から何も願っていない。

 今年の願いは――

 綾芽と結婚したい!
 綾芽と結婚したい綾芽と結婚したい!!
 綾芽と結婚したい綾芽と結婚したい綾芽と結婚したい!!!

「柚葵は何をお願いしたの?」

 綾芽が無邪気な顔して訊いてきた。

「んー、内緒」

 さすがにこの勢いで言えるかよ。

「あ、ねえ。おみくじ引こうよ」

 綾芽が無邪気に笑いながら駆けていく。
 それを追いかけるのもまたいいな。

 おみくじとか、久しぶりに引いたが、中吉とは?
 良くも悪くもなくフツーってことか。
 失せ物もしかしたら見つかる、だって。

「綾芽、お前は……」

 綾芽が突っ立ったまま固まっている。
 怪訝に思って近づくと、目に飛び込んできた文字を二度見した。

「大凶?」
「なんで……こんなの、人生で一回も引いたことない」

 綾芽の声が震えていた。

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