俺様同期の執着愛
【柚葵のターン】

 俺はその日、宝石店に予約しておいたネックレスを受けとりに来ていた。

 小さなダイヤモンドが控えめに輝く、ピンクゴールドのチェーン。
 ブレスレットと色味を揃えておいたので、セットで身につけるとさりげなく統一感が出る。

 店員のおすすめもあって、慎重に選んだ一品だ。
 確認のために箱を開けて手に取ってみる。
 やっぱりこれにして正解だったな。

 そのまま箱に戻そうとした瞬間、ぷつんと鎖が切れた。

「申し訳ございません。すぐにお直しいたします」

 店員が謝罪する声がずいぶん遠くで聞こえたような気がした。
 
 なんだ、この胸騒ぎ。
 やけにそわそわする。

 普段なら気にならない小さなトラブルなのに、なぜか手が震える。
 そうだ。引っ越し業者が来る。

「あの、時間がかかるなら、またあとで取りに来るんで」

 そう言って急いで店を出た。
 まだ時間はあるが、すぐにでも確かめたいことがあった。

 綾芽は今どこにいる?

 電話をしても繋がらず、メッセージも既読にならない。
 もしかしたら移動中かと思い、帰宅して待機した。

 やがて引っ越し業者の来る時間になっても綾芽と連絡がつかなかった。

 何か、あったよな?
 連絡つかないとかおかしいだろ。

 引っ越し業者が来たので搬入してもらった。
 そのあいだ、何度も綾芽に電話した。
 そしてメッセージも既読にならない

 荷物の搬入が終わったあと、業者が帰ってから電話がかかってきた。
 知らない番号からだった。

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