俺様同期の執着愛
 それからしばらく、意識が飛んだりして、眠ってしまったようだった。
 ふと扉が開いて、誰かが入室してきたみたいだったけど、いまいち目が開けられなかった。
 特にどこかが酷く痛むわけでもないのに、眠気がすごくてたまらないのだ。

「大丈夫なんですか?」
「ええ。眠っているだけですよ」

 あ、柚葵の声だ。
 看護師さんと話しているんだ。
 返事しなきゃ。でも眠い。なんでこんなに眠いんだろ。

 ふと手に何かが触れた。
 柚葵が私の手をそっと握っているのだとわかった。
 そして、彼がそばにいる気配がする。
 目が開かないよ~。

「なんで……綾芽……なんでこんなことに……死ぬなよ……目を開けてくれよ」

 いや、死なないよ。
 柚葵、すごい勘違いしてる。
 安心させてあげたいんだけど、目が開かないんだよ。
 どーしよ……。

「俺、お前がいなくなったら……生きていけない」

 柚葵、それは大袈裟だよ。
 でも、ちょっと可哀想になってきた。
 どうにか体だけでも動かせないかなって思って、意識を手の指に集中させてみた。
 そうしたら、ぎゅっと柚葵の手をかすかに握ることができた。

「綾芽、生きてるのか?」

 だから、寝ているだけだって看護師さんも言ってたよね。
 殺さないでよ。

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