俺様同期の執着愛
 私はそれから3日間、多少残業しながら資料作りに精を出した。よく考えたらあんまり時間がないのにうっかり引き受けてしまったことを今さらちょっと後悔している。
 けれど、このチャンスを逃したくないから、結局断る選択肢など私にはなかったのだ。

「綾、まだやってんの?」

 ほとんど人のいなくなったオフィスで柚葵が温かいペットボトルを私の額にこつんと当てた。

「うん、もうちょっとだけ」
「無理するなよ。残業するくらいなら俺がやるから」
「大丈夫だよ。ちゃんとひとりでやってみたいの」
「そっか」

 私は柚葵がくれたペットボトルのカフェオレを受けとって「ありがとう」と礼を言った。
 柚葵はとなりの席の椅子を引いて、私のすぐそばに座った。それから私のPCを覗き込んでじっと内容を確認する。だから私は画面をスクロールさせてどういうふうに作ったのか説明した。

「うん、いいね。わかりやすい。綾はこういうの才能あるよな」
「ほんと? ありがとう。嬉しい」
「俺の見る目は確かだったわけだ」
「柚葵、ありがとう。こんなチャンスをくれて」

 私が礼を言うと、彼はPCから私に目線を移して、真顔でじっと見つめてきた。あまりにも彼が近すぎて、やけに緊張した。

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