俺様同期の執着愛
「綾は健気だよなあ。元カレにもそうやって献身的に尽くしてきたの?」
「え?」

 いきなり何を言うんだろう?
 数秒前まで仕事の話をしていたのに、急にそんな話題を振ってくるなんて。

「うん、まあ……基本的に彼はやってほしいタイプの人だったから」

 それはもう徹底的に尽くしました。
 彼の要望は必ず聞いてきたし、彼の意見がすべてだったし、何事も彼が優先だったから。
 だけどそれを苦だと思ったことはなくて、むしろやりがいがあったように思う。

「それはお前のいいところだけど、悪いところでもある」
「え? 何それどういう……」
「舐められやすいんだよ、綾は」

 そんなことを言われて絶句した。なんて返せばいいのかわからなかったからだ。私は恭一さんに舐められていたのだろうか?

「そう、かな……」
「だからあいつはお前に嘘をついても平気だったんだろ」
「っ……!」

 返す言葉がない。
 もしかして私がもっと強い人間だったら、彼に騙されることもなかったのだろうか。
 少し落ち込んでいたら柚葵が私の頭を撫でた。

「ごめん。傷ついた?」
「ううん。柚葵がそう言ってくれて目が覚めたような気がする」
「別れてよかったんだよ。あいつといるとお前がだめになる」

 柚葵は私のことをどれくらい理解しているんだろう?
 自分でも迷っている道に、柚葵が私を導いてくれているような気がする。

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