俺様同期の執着愛
「メシでも食って帰るか。お前どうせコンビニ弁当だろ?」
「失礼ね。スーパーの惣菜だよ」
「変わんねぇじゃん。俺はこれから牛丼屋だ」
「そっかー。じゃあ私はパスタにしよ」

 そんなふうに話していたのに、私たちは1時間後、同じ店にいた。
 店員さんが大皿に大量のキャベツとトンカツを載せてテーブルに運んできた。

「はーい、ヒレカツ定食とロースカツ定食でーす。キャベツはおかわり自由ですからねー」

 なんで私、柚葵とトンカツ食べることになったんだろ。

「牛丼じゃなかったの?」
「急に揚げ物が食いたくなった」

 揚げたてのトンカツなんて久しぶりだ。自分で作れないこともないけど平日は時間がないからトンカツなんて総菜になりがちだ。
 トンカツはさくっとして肉汁がじゅわっと沁みてたまらなく美味しい。
 ひとりで定食屋に入るの結構勇気がいるんだよね。柚葵と一緒なら気軽に店に入れるしラッキーだったなあ。

 柚葵は慣れているのかさっさと食べ進めるとキャベツとご飯をおかわりしていた。

「食べるの早っ」
「腹減ってるからな。綾もおかわりしたら?」
「私はいいよぉ。太るし」

 なんて苦笑ぎみに言ってみたら柚葵はにんまり笑って言った。

「猫かぶってんじゃねーよ。俺、お前の性格わかってるから」
「ムカつく……すいませーん! ご飯おかわりー!」

 柚葵の前で女らしくするなんて意味なかったわ。

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