俺様同期の執着愛
 多少残念だが、週末はどうにか綾芽を連れ込もう。がんばれ俺!

 自分を奮い立たせて電車のホームへ向かっていたら、見知った人物が目に入って二度見した。
 間違いない、あれは武本恭一だ。
 彼も仕事帰りなのだろうが、なぜかとなりに若い女がいる。

 え、まじか?
 あいつ、もう別の女を捕まえたの?
 ていうか、子どもはどうした??

 綾芽の話だと病気がちの子どものために元奥さんと一緒に暮らしているって話だよな?
 武本が女と別れて立ち去ったあと、俺はその女に近づいた。女は突っ立ったままスマホを見ている。
 武本のことなんかどうでもいいが、どうしても気になって女に声をかけてみた。

「あー、すいません。俺、あの人の知り合いなんだけど、君は彼女だっけ?」

 女はきょとんとした顔で俺を見上げてから、いきなり「きゃっ」と声を上げた。

「何なにー? 超イケメンなんですけどお!」

 女は勝手に騒ぎだす。

「ええー? 恭くんよりお友達のほうが好みぃ! お名前教えて」
「いや、個人情報なんで」
「話しかけてきたのそっちでしょー」
「悪い。ていうか、あんた彼女じゃないのか」
「違うよー。パパ活だよ。ほら、これで出会ったの」

 女は俺にスマホ画面を見せてきた。
 そこには男の写真と名前がずらりと並んでいる。

「マッチングアプリかよ」

 俺がその気がないのを知ると、女はさっさと立ち去ってしまった。

 まじ、別れてよかったな。綾芽。
 そして元奥さん、まじ気の毒だな。

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