俺様同期の執着愛
 帰宅したら急に喪失感が襲ってきて、玄関で靴も脱がずにしゃがみ込んだ。
 自然と涙がぼろぼろこぼれ落ちる。

「何だったんだろう? この1年は」

 私の心はぐちゃぐちゃで、彼に尽くしてきた自分があまりに惨めに思えた。
 彼は私の家で私の作ったご飯を食べて、私のお風呂を使って、私のベッドで眠った。
 そういえば泊まりは月に一回程度だった。出張があるから泊まりは難しいなどと言いながら。そっか。私の家に泊まるときも元奥さんに出張で泊まると言っていたのね。

 彼は毎回私に愛していると言った。
 今じゃあのセリフが陳腐なものに思えてならない。

「サイアク……」

 彼に子どもがいたことよりも、ずっと嘘をつかれていたことに腹が立つ。彼はそういう人間なのだ。これから先もし結婚しても彼は都合が悪くなれば嘘をつくだろう。
 そうやって元奥さんにも嘘をついてきたのだろうから。

「……飲みに行こう」

 家でじっとしていられなくて、わざわざ遠い駅までバスを使って出てよく行く居酒屋に飛び込んだ。

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