俺様同期の執着愛
 結局試合は引き分けで、会場を出ると急にひやりとした風に包まれた。駐車場へ向かって柚葵と歩きながら試合の話で盛り上がる。
 もう私の頭の中から元カノさんのことなんて綺麗さっぱりなくなっていた。
 柚葵と気まずい空気になることもなかった。

 私はわずかに少し、期待した。
 今夜、うちに泊まっていかないかなって。
 だけど柚葵は何も言わなくて、すんなり最寄り駅前で降りてしまった。

「ありがとな、綾。気をつけて帰れよ」
「うん。柚葵も気をつけて」
「俺はすぐそこだから」
「わかんないでしょ。駅前はいろいろ物騒だから」
「お前こそ田んぼに落ちるなよ」
「失礼ね! 道広いから大丈夫だよ!」
「あははっ」

 柚葵はじゃあなと言って手を振った。
 私が走り去るまで、彼は突っ立ったまま見送っていた。

 なんだか物足りない気がした。すごく楽しくて充実した1日だったのに。
 このまま同じ家にふたりで帰れたらいいのに。
 そんなふうに思う自分に呆れた。

 ただの同僚で割り切った大人の関係に、それ以上を求めてはいけない。
 だって私たちは恋人同士じゃないんだから。

 でも、試合を見ていたときの柚葵の横顔が、妙にかっこよく見えて、その夜はずっと彼の顔が頭に浮かんで寝つくことができなかった。

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