好きって言ってよ ~先輩、溺愛しすぎですっ~
そして――



「新婦様、ご入場――」



白い光の中。



タキシードを着た風里先輩が立っている。



あたしを待つ先輩のもとに、ゆっくりと歩みを進めていく。



挙式会場ではみんなが嬉しそうにあたしの花嫁姿を見守ってくれる。



途中、明莉と目が合ってにっこりと笑った。



先輩の元に着いた。



先輩は優しく微笑んで。



先輩に右手を差し出すと、その手を取ってくれる。



そのまま、その手で先輩の腕をつかんだ。



みんなの前に立つ。



「本日、私たちは、皆さまの前で結婚の誓いをいたします。これからは、互いを尊敬し、いつまでも相手を思いやり、幸せな家族になることを誓います」



誓いの言葉を発すると、みんなが祝いの拍手をくれた。



幸せな気持ちでいっぱい。



先輩と向かい合う。



指輪の交換…。



婚約指輪と同じように、結婚指輪も先輩がデザインしてくれた。



呆れちゃうくらいの才能。



あたしにはもったいないくらいの人。



それでもあたしの世界で一番大切な愛する夫だ。



婚約指輪も素敵だったけど、結婚指輪もシンプルで使いやすく、かつおしゃれなデザインで。



司会の人が新郎のデザインした指輪だと伝えると、客席が少しどよめいた。
< 334 / 351 >

この作品をシェア

pagetop