この恋は、終わらないと思ってた
桜の花びらが一枚、宙を舞った。
私の視線は、それの行く先を追う。
不特定多数に踏まれてしまうような場所に落ちるのかと思えば、それは前を歩く人の髪に引っかかった。
その髪色は明るすぎない金髪。
大学では黒髪が当たり前ではない。
知識としては知っていたけど、実際に髪を染めている人を見たのは、これが初めてだった。
それもあって、その後ろ姿を凝視してしまった。
風は金髪をなびかせるけど、桜の花びらは落ちない。
その状況に驚くと同時に、少し面白くて、私は小さく笑みをこぼした。
本当はここで桜の花びらの存在を教えてあげるのが優しさなんだと思う。
でも、私には見知らぬ人に声をかけるような気量はなかった。
それも、相手は金髪で、後ろ姿からして男の人。
声をかけられるわけがない。
ほかの優しい誰かが教えるだろう。
そう思って、私は花びらから目を逸らす。
それよりも、どこから桜の花びらが運ばれて来たのかが気になって、あたりを見渡した。
桜の木は、案外近くにあった。
中庭のような芝生を挟んで、向こう側。
等間隔に何本か植えられている。
赤色になろうとしている空と薄桃色の桜の組み合わせは美しく、その景色を残したくなった。
私はスマホを取り出して、カメラを起動させる。
スマホを横向きにし、シャッターボタンを押した。
カシャ、という無機質な音が鳴り、私は今撮った写真を確認する。
結構綺麗に撮れている。
「ねえ」
私の視線は、それの行く先を追う。
不特定多数に踏まれてしまうような場所に落ちるのかと思えば、それは前を歩く人の髪に引っかかった。
その髪色は明るすぎない金髪。
大学では黒髪が当たり前ではない。
知識としては知っていたけど、実際に髪を染めている人を見たのは、これが初めてだった。
それもあって、その後ろ姿を凝視してしまった。
風は金髪をなびかせるけど、桜の花びらは落ちない。
その状況に驚くと同時に、少し面白くて、私は小さく笑みをこぼした。
本当はここで桜の花びらの存在を教えてあげるのが優しさなんだと思う。
でも、私には見知らぬ人に声をかけるような気量はなかった。
それも、相手は金髪で、後ろ姿からして男の人。
声をかけられるわけがない。
ほかの優しい誰かが教えるだろう。
そう思って、私は花びらから目を逸らす。
それよりも、どこから桜の花びらが運ばれて来たのかが気になって、あたりを見渡した。
桜の木は、案外近くにあった。
中庭のような芝生を挟んで、向こう側。
等間隔に何本か植えられている。
赤色になろうとしている空と薄桃色の桜の組み合わせは美しく、その景色を残したくなった。
私はスマホを取り出して、カメラを起動させる。
スマホを横向きにし、シャッターボタンを押した。
カシャ、という無機質な音が鳴り、私は今撮った写真を確認する。
結構綺麗に撮れている。
「ねえ」
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