雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「ただいまご紹介に預かりました、高坂 茉莉花と申します。奈緒さん、悠翔さん、並びに両家の皆様、本日は誠におめでとうございます。僭越ではございますが、お祝いの言葉を述べさせていただきます。
奈緒さんとは大学時代に知り合い、一緒に課題をしたり、遊んだりして仲を深めていき、お友達となりました。
奈緒さんは本当に優しい人で。私が悩んだり困ったりしている時、いつも親身になって、私の話を聞いてくれます。人の気持ちに寄り添える、そんな奈緒さんだからこそ、悠翔さんのことを支えられる、良き妻となってくれるに違いありません。
お互いに社会人となり、会う機会が減ってしまった時期もありましたが、こうして奈緒さんの門出をお祝いすることができて嬉しいです。どうかお二人の末永い幸せを心より願い、私のスピーチとさせていただきます」

茉莉花のスピーチに、私は感動した。茉莉花がそんなふうに私のことを思ってくれていたことが嬉しかった。
寧ろ茉莉花の方が優しい。私なんかよりずっと…。友達にそう言ってもらえて、感動せずにはいられなかった。

「高坂 茉莉花様、ありがとうございました。それでは続きまして、新郎のご友人を代表して、石動 凌大様、スピーチをお願い致します」

今度は凌大さんの出番だ。悠翔にとって、凌大さんはとても大事な友人だ。

「ただいまご紹介に預かりました、新郎の友人、石動 凌大と申します。奈緒さん、悠翔、ご結婚おめでとうございます。
悠翔とは高校時代からの友人で。ずっと一緒に肩を並べて、お互いに切磋琢磨してきました。そんな悠翔と共に会社を立ち上げ、一緒に仕事をしていることが、俺はとても嬉しいです。
悠翔は責任感があって。とても心強い、大切な友人です。その友人が奈緒さんという素敵な女性に出会えたこと、心からお祝い申し上げます。これからの二人の末永い幸せを願って、私のスピーチとさせていただきます」

凌大さんは私の知らない、辛かった時期の悠翔のことを知っている。
悠翔にとって、凌大さんがいなかったら、今ここにいない。それぐらい凌大さんは大事な存在だ。
そんな凌大さんのスピーチだからこそ、私はとても感動した。改めて友達の大切さを身に染みた。

「皆様、楽しい時間もまもなくお開きの時間が近づいてまいりました。最後に新婦様より日頃の感謝の気持ちを込めて、ご両親へのお手紙がございます。それでは新婦様、お願い致します」

結婚式の一番の要、花嫁から両親へ宛てた手紙を読む番がやってきた…。
席から立ち上がり、マイク前へと進む。事前に用意しておいた手紙を取り出し、両親に向けて手紙を読み始めた。
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