雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「悠翔、お帰りなさい。そして奈緒さん、初めまして。お会いできて光栄です」

玄関の扉を開けてくれたのは、悠翔さんのお義母様だった…。

「初めまして、観月 奈緒と申します。本日はこちらこそお会いできて光栄です。これよかったらどうぞ…」

手土産を渡した。用意したのは虎屋の羊羹だ。

「あら。わざわざありがとうございます。奈緒さん、悠翔、どうぞ中へお入りください」

お義母様に促されたので、玄関で靴を脱いでお邪魔することにした。

「お邪魔します…」

お家の中へ足を進めていくと、客間へ通された。

「ここで座って待っていてください。お父さん、悠翔と奈緒さんが来たわよ」

客間の襖を開けると、先にお義父様が座って待っていた。

「悠翔、お帰り。奈緒さん初めまして。うちまでお越し下さりありがとうございます」

お義母様もだが、お義父様も温かくて優しい方で。
挨拶に来る前に緊張していたのが嘘みたいだ。

「こちらこそ初めまして。観月 奈緒と申します。本日はお会いできて光栄です」

悠翔さんのお義父様は眼鏡をかけていて、白髪混じりのダンディなおじ様だ。
おじ様…なんて言うのは失礼にあたる。悠翔さんに似てかっこいい。
いや悠翔さんがお義父様に似ているのか。お義母様も上品で綺麗な方だ。
親から受け継ぐ遺伝子は大きいということがよく分かった。

「どうぞゆっくりなさってください。畳なので直で座ることになりますが…」

客間といえば畳のイメージなので、直に座ることに問題はない。

「大丈夫ですよ。それでは失礼致します」

お義父様の向かいに座った。ちゃんとご挨拶をするために。

「奈緒さん、良かったらお茶をどうぞ」

奥からお義母様が戻ってきた。どうやらお茶を淹れてきて下さったみたいだ。

「ありがとうございます。いただきます…」

せっかく淹れていただいたので、飲むことにした。
温かいお茶に心も身体もほっこりした。

「お茶美味しいです。ありがとうございます」

「いえ。こちらこそそう言ってもらえて光栄です」
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