雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「ありがとうございます。いただきます…」

そして悠翔さんにもビールを渡した。

「奈緒、ありがとう。それじゃ乾杯しよっか」

「そうだな。乾杯」

「乾杯」

二人は乾杯を交わすと、缶の蓋を開けて、飲み始めた。
二人が飲んでいる傍ら、私は作った料理をお皿に装うことに。
色々作ったので、食べてもらえたら嬉しい。石動さんのお口にも合うといいな。

「お待たせ致しました、よかったらお酒と一緒に召し上がってください」

一皿ずつ運び、テーブルの上に並べていった。

「ありがとうございます。美味しそうですね」

「奈緒の料理は天下一品だから。すげー美味いぞ」

そんなに褒められると、食べてもらうのにハードルが上がってしまい、緊張してしまう。

「へぇー、そうなんだ。とても楽しみです」

やっぱりハードルが勝手に上がってしまっている。
それは困る。普通に美味しく食べてもらいたい。

「お手柔らかにお願いします…」

私がそう言うと、石動さんは私の気持ちを察してくれたみたいで。申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
そんな石動さんを見て、逆に気を遣わせてしまって、こちらの方が申し訳ない気持ちに苛まれた。
そんな気持ちをこれ以上悟られないように、残りの料理も運んだ。なるべく早く。
全料理を運び終えたので、私も腰を下ろした。もちろん悠翔さんの隣の席に。

「それじゃいただきますか」

悠翔さんが率先して音頭をとってくれた。こういう時、率先してくれて助かる。

「奈緒とも乾杯したいから、もう一回乾杯しよう」

料理を運ぶついでに自分の分のお酒も持ってきた。私もビールが飲みたかったのでビールを。

「ありがとうございます。それじゃ改めて…乾杯」

私がそう言うと、二人も一緒に再び乾杯を交わしてくれた。
一緒に乾杯できて嬉しかった。二人の仲に入れてもらえたみたいで。

「奈緒さん、料理をいただきますね」

一言断りを入れてから、石動さんは食べ始めた。
私は石動さんが食べ始めるのを黙って見守った。どうか石動さんのお口に合いますように…。

「…美味しい」

石動さんは目を輝かせながら、ぽろっと本音が口から漏れたみたいに呟いた。
私は石動さんに美味しいと言ってもらえて安心した。どうやらお口に合ったみたいだ。

「それなら良かったです。どんどん食べてください」

私がそう言うと石動さんは、「分かりました。お言葉に甘えてたくさん食べさせてもらいますね」と言ってくれて。本当にたくさん食べてくれた。
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