雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「いいですよ。事情を説明してください」

私がそう言うと、男は事情を説明し始めた。

「社長をやってると、色んな会社のお偉い様方から結婚はまだしないんですか?って聞かれることが多くて。
それこそ商談相手の社長さんに、自分の娘とのお見合いとかを持ちかけられることもあって。
正直、仕事相手だから断るのが面倒くさくて。あんたさえよければなんだけど、俺と偽装結婚してほしい」

つまり私の事情につけ込んで、自分の都合を押し付けた…ということになる。
正直、私としても美味しい。そろそろ貯金が底を尽きそうなので、この人と結婚をすれば養ってもらえるので助かる。

「偽装結婚…ですか。リアルにこんな話があるんですね」

周りの人を欺いて結婚する。胸が痛まないかと言ったら痛む。
簡単に決められないので悩む。どうするのが正解なのか分からない。

「俺も今まではそう思ってたよ。でもこうするしかないんだ。それぐらい切羽詰まってる」

見た目から年齢を推測するあたり、三十歳前後といったところであろう。
そうなると年齢的に周りから結婚の話を持ちかけられてもおかしくはない。
私も今、二十五歳という年齢になり、結婚というものが現実味を帯びてくる年齢に差し掛かった。
私が今、仕事をしていないのは両親は知らないが、将来のパートナーを見つけたという事実に両親は安心するはず。
色々考慮した上でこの男との結婚にメリットしかないということに気づいた。
つまり答えは一つしかない。この提案を受け入れることにした。
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