獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
まっすぐ、彼の瞳を見て言葉を紡ぐ。
「1度逃げ出した私の言葉じゃ、説得力がないかもしれないけど…憎しみの連鎖を人は断ち切れる」
「何度も言ってるでしょ、俺は人間でなく感情が欠落してる獣だって」
またいつものように、冷めた視線が私を突き刺す。
会った時からそうだった。
自分からは私の心に踏み込むくせに、私が踏み込もうとすれば、獣だと言って壁をつくる。
ここで怯んで逃げれば前と何も変わらない。
今の私はもう違う、過去を知って、知らないふりができないくらい自分の気持ちが溢れてるから。
「隼太くんは言ってることとやってること矛盾してるよ。 感情が欠落してるのなら、憎しみの感情なんてないし、私を助けたりしない」
「普段鈍いくせに、こーゆーとき妙に鋭いよねお前。なんで俺を人間だと言い切れる?」
「私は…っ、みんなが選んでくれたベルだからだよ!」
そう言い切った瞬間に、隼太くんの冷たかった瞳に少しだけ光が宿ったように見えた。
私は、鳳凰にとって大事な役割を担ってる。
美しい心で、まっすぐ愛を教え、与える仕事。
そして獣と呼ばれ、そう自分でも思い込む彼に、人と自覚させる役目。