獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
ベルとして...
「それから春野七瀬として、隼太くんには幸せになって欲しい、寄り添ってその悲しみを分けてほしいって思ってる」
「怖がって逃げてたのに、俺のいる醜く汚い世界に足を踏み入れてくれるんだ?」
「奪い合う世界を知らなかったから、怖いよ...今でも。けど、隼太くんが憎しみを断ち切るのなら、私が一生をかけて愛をあげる」
私は...、隼太くんが大好きだから。
思い浮かぶのはいつも彼が笑った顔、私を呼ぶ優しい声色。
大丈夫と念を込めるように、隼太くんの手を握ってもう一度向き合う。
「だから、隼太くんに向けられる憎しみを...私にも一緒に背負わせて」
彼の瞳は揺れ、獣と呼ばれる冷たい視線は無くなった。
初めて“人”らしい光を宿したように私には見える。
「会った時から変わらない。 人の心の痛みを知っているあなたは、獣ではなく愛し愛される人だよ」
「...っ」
「心の美しいベル...私が言うこと信じられない?」
「いや、ベルだからじゃなくて七瀬だからその言葉を信じる。 出会った時からずっと俺を人間だと唱えたお前の言葉を」