獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める











「──せ」


「おい、──」


「起きろ、ななせ」



徐々に意識が戻ってきて、パッと目を開くと私を囲むように晴人くん達がいた。



そうだ私、止めようとしたのに隼太くんに睡眠薬を飲まされて…そのまま寝ちゃってたんだ。




「なあちゃん、大丈夫?」


「私は大丈夫だけど…みんな、隼太くんを止められなくてごめんなさい」


「いや、隼太クンは俺たちが止めても行ってたから」



輝くんの優しさが心に染みる。



「俺たちもななせの無事を確認できたから、隼太の所へ向かうぞ」


「待って!晴人くん、私も隼太くんのところへ連れて行って」


「自分が何言ってるかわかってんのあんた。だめに決まってるだろ」


「俺も颯クンと同感。なあちゃんを敵陣に連れていくのは危険すぎる」




皆が心配して言ってるのはわかってる。
逆に即答でいいよと言うはずがないから。


なんて言えば伝わるか考えていると、優しく私の頭に誰かが手を置いた。

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