獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める


ここへ来てから今まで一言も言葉を発さなかった、百獣の王…鳳凰総長が私を見据えて口を開く。



「ベルに相応しいかを決めるのはお前でなく俺」


「私…えーと、皇くん?には昨日やらかしてしかないし、どうして私なんですか?」


「隼太でいい。怯むことなく真っ直ぐ俺を見て冷静な判断ができたから。あの場で、ビンタして敵を止める子なんてそうそういない」



…つまり、めずらしい女認定ってこと?

あの時は、彼らより怪我していた男の子を1秒でも早く助けたくて気づいたら止めてた。




「な、言ったろ?うちの王様は絶対だ。読書ばか、そろそろ腹くくれ」


「なあちゃんがもしベル断るなら…ベルになるって言うまでぐちゃぐちゃに可愛がって抱き潰すかも」


「ポンコツ、あんたは一度隼太くんから逃げた。次拒んだら俺はあんたを許さない」


「七瀬、もう一度言う。ベルになれ」




晴人くん、輝くん、颯くん…最後に隼太くん。

肉食動物に捕食される前の小動物のように、身体どころか声もろくに出せずに固まる。


光を宿していない瞳が余計に背筋がゾッとした。

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