獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
昨日のベル候補として呼ばれた時の、視線を思い出すとやっぱり1人でいったほうがマシだと思う。
「じゃあ、さっきの話は全部ナシになるけどいーの?」
「だ、だめ…!条件のみます」
「うん、いい子だね」
微笑む隼太くんに、私が断らないと知ってて条件追加したでしょという意味を込めて苦笑いだけ返す。
はあ……、これからずっと隼太くんの手のひらで転がされる未来しか見れない。
私が、主導権を握れる日が来るのかな…
「隼太、今日めんどくせぇけど俺とおまえ会合あるぞ?」
「あー…、そっか今日だっけ。じゃあ颯いって」
緊張の糸が途切れて意識飛びかけてた時に、晴人くんの一声で現実へと引き戻される。
会合ってなんか大人の響きだなあって思ったりして。
秘密裏に行われてる危険な感じ、本の中にも出てきた事があってその世界に入り込んでワクワクしてた事を思い出す。
「うわーさいあく、でも隼太くんのお願いなら断る理由はないな」
「七瀬のこと頼んだ」
──これが数十分前の出来事だった。
心底面倒くさそうな顔されて、申し訳なさを感じつつここ、教室の長い廊下を歩いている。