獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
「で、幹部の事だったよね?まずは、周防颯さま!」
今、一緒に教室までついてきてくれてる人。
私のことをポンコツと呼んで、子犬系の甘いフェイスを持ちながらあたりがキツい。
チワワみたいな可愛い犬は気が強いってよく言うよね、まさにそんな感じ。
懐いていない怪しい人間…、つまり私には警戒されて少しでも奇行をとれば牙を剥かれる。
……はあ、自分で言って悲しくなってきた。
「颯さまはね、見た目通りの容姿を活かして可愛くて、誰にでも笑顔で接するから人気だよ!」
「え…、うそ、颯くんってそんなキャラ―」
「なな、お友達と楽しそうになに話してるの?俺にも教えて♡」
私のそんなキャラじゃないよと言いかけた言葉を遮るように、背後から来たのは誰もが予想つく颯くんだ。
語尾のハートが、色々な意味が込められている気がして背筋がゾッとする。
しかも聞き捨てならないのが…な、なな!?
ロボットのように首をぎこちなく颯くんの方向に向ければ、私にまで教室で見たあの営業スマイル。
昨日と態度が違いすぎて、情緒不安定…?いや、腹黒を疑ってしまう。