獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
2人の朝


長く感じた学校が終わって、ふらついた足取りで幹部室に戻った。


いつもより心身共にヘトヘトでため息を吐きながらソファに座る。



「あぁ~…っ、つっかれた…」


「おかえりなあちゃん、紅茶でもどうぞ」


「ありがとう輝くん!」



ほっと一息つくために淹れてくれた紅茶に口をつける。

私の知っている一般的なものではなくて、フローラルな香りが漂った。



「飲みやすくて美味しい…!これローズティー?」


「そうそう正解、初代のベルが好んで飲んでいて常に常備されてんだよね」


「初代のベルってすごいって言葉じゃ言い表せないほど聡明な人だね」


「どしたのなあちゃん、悩みあるなら俺聞くよ。ちょうど悩みの現況である颯くんいないから」


「え!どうしてわかったの!?」


「よく見てればわかるよ」




片目を閉じてウインクしながら微笑む彼に、これはモテるだろうなあ…と改めて思った。


よく考えれば、昨日の時点で颯くんから毛嫌いされて今日は1日一緒に過ごして、疲れた顔をして帰ってくれば誰だって察すことができる。


当の本人は、私が今日欲しい本を代わりに借りるために図書館に寄ってもらってるのだ。



私が行くって言ったのに、颯くんは…

『何回言えば学習するの?通常なら新校舎に出入りできないのを許してるんだよ。それ以上ふらふら出歩かれたら困るんだけど』

なんてお説教を食らってしょんぼり幹部室に帰ってきた。


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