獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
怯んだのは一瞬で、南高の男達はチャンスだとでも言うように彼を囲む。
「鳳凰の総長倒せば俺たちは幹部に昇進だ」
「ああ、相手は1人」
男達は利益のことしか考えてないからこの状況を判断できてない。
鳳凰の総長…噂を鵜呑みにするわけではないけど、強さを求め一切の情けをかけない冷酷無慈悲。
今、彼を初めて見て噂は半分信じてもいいかもと思うほどに風格のある人。
このままだと彼らは無事では帰れない。
穏便に済ますには、私が動かなきゃ…!
「お前らやるぞ」
「やめなさい!」
─バチンッ─
スキンヘッド男の頬叩く乾いた音が響く。
「今この状況がわからないの!?今ここで喧嘩を始めたらあなた達は無事で帰れない。あなた達が怪我させた彼みたいな状況になるかもしれないのよ!?」
「……っ!」
咄嗟だったとはいえ、平手打ちはないなと自分で思ったけどおかげで相手が冷静になってくれた。
後ずさりその場から立ち去ろうとしたのを、ある一言で引き止める。
「待て。うちのものをこんなにさせたんだ。俺が逃がすとでも?おまえは早く立ち去りな」
「彼らより今は倒れている方を助けるのが先です!」