獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
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読んでからしばらくするとスースーと規則正しい寝息が聞こえる。
頭が船を漕いでいるようにゆらゆら揺れて、椅子から落ちそうになるのを慌てて大きな手のひらが、白い小さな顔を支えた。
「お前が寝るのかよ、ばか」
ため息を吐いて、呆れながらいうのは私ではなく隼太くん。
そっと私の手から本を取り上げて、サイドテーブルに置くとそのままベッドへ引き込まれる。
「ほんとに会った時から手のかかるやつ」
まるで小動物を愛でるかのように、優しい手つきで頭を撫でられて朝を迎えた。
私は、自分がやらかした失態に起きてから絶望することをまだ知らない。