獣と呼ばれる冷酷総長はベルに真実の愛を求める
「隼太くんありがとう!」
「いーえ、ほんと本好きだね。今度は寝落ちせず俺におすすめのやつ読み聞かせてよ」
「う…その節はすみません」
両手にさっきの本を抱きしめるように持って、るんるんで隼太くんに着いていく。
「あとね、お前がずっと気にしてたやつが面会OKになったから連れてこうと思って」
「覚えてくれてたの?」
「七瀬のお願い、言ったことは一言一句覚えてるから」
「す、すごい……ありがとう」
改めて思うけど、隼太くんって人間離れしてる才能を持ってるんだよね。
一言一句覚えてるって、多分私の会話だけでなく他の子のもだろうし、一番びっくりしたのは見たものがそのまま頭の中で映像化されて忘れないってとこ。
前に1回どうして授業受けてなくても点数採れるのか聞いたら、1度教科書見たら暗記できるからって真顔で言われたの。
「ここだよ」
「森川って名前なんだね」
「そ、ちなみに1個下」
そうなんだと言いながら私は、ドアを開ける。
ベッドから上半身を起こしている彼は、ガーゼと包帯だらけで痛々しい状態だった。