救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 ルーファスはそう言った時に、国王をはじめ取り囲んでいた大臣たちの歓喜の叫びが大広間に響いた。

「私っ……あのっ……!」

「サブリナ! サブリナ。ああ。良くやった」

 初めて会ったこの男性の恋人などではないと否定しようとしたサブリナの言葉は、彼女へと素早く駆け寄りぐいっと腕を掴んだ父に遮られた。

 間近まで迫った父は言葉もなく、強い視線で『何も言うな』と、サブリナに伝えていた。そんな父の姿に、今このアシエード王国がどれだけ逼迫しているかわかろうと言うものだ。

(……アシエード王国の滅亡の危機が、この方にしか救えないですって……?)

 未だ不機嫌な態度を崩さないルーファスは、いかにも面白くなさそうな表情で自分が救うと言った一言で舞い上がった彼らを見ていた。

 つい先ほどまで大勢の貴族が集まり、歓談しダンスを楽しんでいたはずの大広間は見事に彼ら以外誰も居なくなり、国王とその側近の喜びの声に溢れることになった。







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