救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 ようやく見つけた一縷の望みだと思ったのか、国王が必死の形相で驚いていたサブリナを見て叫び、父親のラディアント伯爵もこれまでに見たことがないほどに追い詰められた口調で言った。

 父フレデリックの顔を見れば、これまでに見たことがないほどに必死だった。

(お母様の死にも動じなかった、あの父が……これは、本当のことなのね。滅亡の危機にあるなんて)

 ようやく、自分がとんでもなく非現実的な出来事に巻き込まれていると認識して、サブリナは隣に居るルーファスを見上げた。

 彼もサブリナの視線に気が付いたのか、その時に目が合った。

 一瞬身体が痺れたような気がしたけれど、ルーファスが大魔法使いだと言うのなら、何かの魔法でそれもおかしな事ではないのかもしれない。

「どうか……この国を救ってください。お願いします」

 サブリナはルーファスの紫の瞳と視線を合わせて、彼へとお願いした。強い緊張から震える唇から伝えた言葉は、彼の耳にも無事届いたようで鷹揚に頷いていた。

「……仕方ない。他ならぬ可愛い恋人の頼みならば、引き受けても良い」

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