救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

04 葛藤

「そういうことだ。だが、ルーファス様がお前のことを気に入ってくれたようで、本当に良かった。本当に、助かったよ……」

 その時、急に父が自分を見る視線が鋭くなり、サブリナは息を呑んだ。

(お父様……怖い)

 けれど、それは無理もない事なのかもしれないと思い、サブリナは小さく息を吐いた。

 アシエード王国が滅亡してしまえば、王侯貴族は何もかも失う。そして、国民たちだって多くの命が失われることになるだろう。

 実際に、父の命だって掛かっているのだ。

 窮地にあるアシエード王国の今後は、それを救える能力を持つ大魔法使いルーファスの気分により、左右されることになってしまった。

「お父様……」

「良いか。サブリナ。ここまでの話を聞いてよくよく理解していると思うが、これからお前の行動に、アシエード王国の今後が掛かっていると言っても過言ではない」

 アシエード王国にある魔界の扉の封印が解かれ、無関係だから救うつもりはないと言っていた大魔法使いは、恋人と呼んだサブリナが『願ったから』と救ってくれることになった。

(そうだわ……私が実は恋人ではないとわかってしまえば、あの方は……)

 実際には、サブリナはルーファスと初対面で、心を通わせるような過去の記憶もない。だが、彼はサブリナを恋人と呼んでいる。

 このことが何を意図しているかはわからないが、国王陛下や大臣たち、特に父フレデリックにとっては思わぬ幸運を掴んだと思っているはずだ。

「良いか。ルーファス様より何かを求められれば、お前は応じねばならぬ」

「っ……お父様。けれど、それは……」

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