救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
 椅子とお茶の載った机と一緒に、二人は白い砂浜に移動していたのだ。器用なことに机に積み上がっていた本や書き付けていた紙は、ここにはない。

「まあ……凄いわ。ルーファス。これも貴方の魔法なのね?」

 視線の先にある青い水平線に、サブリナはため息をついた。

 日々弱っていった母ニコレッタは、ついには歩けなくなってしまって、白い砂浜には来られなくなってしまったが、ここで母と二人で来た記憶が蘇った。

「実は僕は多くの人から、大魔法使いルーファスと呼ばれていてね。便利な魔法を使うことが出来る……君はもしかしたら、知らないかもしれないが」

 ルーファスは澄ましてそう答えて、サブリナはそんな彼を見て微笑んだ。

「当分……ここには、来られないだろうと思っていたので嬉しいです。ありがとうございます。ルーファス」

 父フレデリックはラディアント伯爵領には、ほとんど帰らない。代官に管理を任せて領主たる自分は、王都で大臣として多忙な日々を送る。

 サブリナも二年間空けて社交界デビューしたばかりとは言え、本来ならば結婚を準備しているような年齢になってしまっている。

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