救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~
「……ああ。そういえば、今日は国王陛下の誕生日だったわね」

「え。魔界の門が今にも開きそうな時なのに、暢気に誕生日祝いしてるの……? この国大丈夫?」

 拡声魔法で昼頃にお知らせがあったと思い出したサブリナに、パックがなんとも言えない顔をして呟いた。

 今頃は王城の大広間では、国王陛下の誕生の祝う夜会が行われているはずだ。

「とは言っても、一年に一度しかないものね。王様の誕生日を延期するという訳にもいかないわ」

 本来ならばアシエード王国貴族の一員サブリナも参加するはずだったのだろうが、彼女の役目は今ここに居る事の方が大事なので、国王も許してくれるだろう。

「どうかしてるよ。こんな時なのに」

「そういう時だからこそ……かもしれないわ。どんなに窮地にあっても暗く考えても事態は好転しないもの……」

 サブリナは窓に肘を付いて、呆れた表情の小妖精パックと、次々と打ち上がる花火を見ていた。

(滅亡の危機にあるからこそ、私たちはいつも通りの生活が大事なのかもしれない。怯えていても、何も変わらないもの……)

 夜空に上がる花火を見ながら、サブリナはパックから聞いた封印が解けた時に何があったかを、明日ルーファスに聞いてみなければとぼんやり考えていた。




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