リアル・アクション・アプリ
「【１分以内に誰かが車に轢かれる動画を撮影しろ】」
洋太さんが今日の指示を読み上げる。

同時に私は目の前を行き交う車に視線を向けていた。
「車に轢かれるって、やっぱり五十嵐花子の呪いとしか思えない」

五十嵐花子は歩きスマホでトラックに跳ねられて死んだ。
五十嵐花子は私たちに同じ運命を辿らせようとしているに違いない。

「こんなことできるわけないよ！　下手したら死んじゃう！」
知里が叫ぶ。

「わかってるよ知里。ここでミスしてもまだ１回残ってるから、大丈夫だからね？」

知里を落ち着かせるために言ったのだけれど、知里は両方の目からボロボロと涙をこぼし始めた。

「忘れたの？　菅原先生の日記にはミス２回で五十嵐花子の姿が見えるようになったって書いてあった。ミスを２回した時点で五十嵐花子に付きまとわれるんだよ！？　そんなの耐えられない」

確かに、先生の日記にはそう書いてあった。
色々あったせいですっかり忘れていたのだ。
誰もが黙り込んでしまった、そのときだった。
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