リアル・アクション・アプリ
ここ、山岡西中学校では行き帰りのときだけスマホの使用が認められているが、校内に入ると電源を切らなければならない決まりになっていた。

それを守っている生徒はほとんどいないみたいだけれど。
「瞳、知里、おはよー!」
穏やかな朝の風景に明るい声が響く。

教室の入り口へ視線を向けると田橋美穂がスキップしながら入ってきた。
美穂は生まれつき明るい髪色をしていて、ゆるく天然パーマにもなっている。

そんなふわふわな髪の毛をツインテールにして揺らしながら近づいてきた。
美穂が近づいてくると、いつも甘い香りがする。
「おはよ。美穂香水つけてるんじゃない?」

「えぇ? 違う違う。これシャンプーの香り」
美穂がそう言ってクルリを回ってみせると、ふわりと甘い香りが漂った。

思わず大きく吸い込んでしまう。
「いいなぁ美穂ちゃんは。いい香りがするし、可愛いし」
知里はまだ口の中で飴玉を転がしながら羨望の眼差しを向けている。

知里はくせっ毛で髪の毛を整えるのに時間がかかるからと、年中ショートカットだ。
「ありがと知里。シャンプーの名側教えようか?」
「教えて!」
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