虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます

逆にプライベートでは、真矢は「ビジネスパートナーで婚約者」という立場に慣れないままでいた。
契約書を交わした相手とは、どんなふうに暮らしていけばいいのか正解が見えない。

メゾネットタイプマンションは、ふたりが別の階に住んでいても広すぎる物件だった。

「家のことは家政婦がする。今のところ、妻や婚約者としての役割は必要ない」

確かに家政婦の仕事は完璧だから、真矢が手伝うことは何もなかった。
それに岳はひとり暮らしが長いからか、大概のことはパパッと自分でやってしまう。

ふたりが顔をあわせても、挨拶か仕事の話くらいしか言葉を交わすこともない。
この関係はビジネス契約を結んだようなものだから、日常生活では距離をとった方がいいのだろう。

真矢はそう思うことにしたが、仕事になるとそうはいかない。

真矢の通勤は、基本は社有車の送迎付きだ。
岳が本社に行く日は、真矢も同じ車で出勤する。どうやら婚約者という立場はオープンにしていいようだ。


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