虐げられ続けた私ですが、怜悧な御曹司と息子に溺愛されてます
マンションの駐車場から部屋まで、岳はずっと真矢と手をつないでいた。
逃げ出すわけないのにとおかしくもあったが、真矢自身が岳の手に導かれているのが好きなのだ。
部屋に入るとすぐ、岳が真矢の肩にそっと触れてきた。
「抱きしめていいか」
「ええ」
柔らかい抱擁だった。
大きな体でふんわりと包むように、小柄な真矢を抱きしめてくる。
「やっと手に入れた」
「岳さん」
今度は真矢の頬に手を伸ばしてきて、そっと覆った。
「キスしたい」
真矢がうなずくと、軽いキスを落としてくる。
それから何度もバードキスを交わした。
「岳さん」
「ん?」
唇が離れたわずかな瞬間に、真矢は彼の胸に手をあてた。固くてがっちりとした厚みが伝わってくる。
「大好きです」
「真矢」
ふたりは手をつないだまま、リビングルームに歩き出した。
「好きだよ」
ソファーに並んで座って、どちらからともなく唇を重ねる。
岳の唇に軽く真矢のそれが挟まれると、甘い痺れが背筋を走った。
真矢の背を岳の手がなぞる。強く弱く、抱擁の力加減が変化するたび、またチュッと軽く唇をなぞられる。
「これからはずっと一緒だ」
真矢は返事を考えるより早く、岳の背に腕を巻きつけた。
真矢がどんなに力を込めても、岳はびくともしないだろう。
「愛している」
「うれしい」
甘い夜は長い。優しい口づけはまだまだ続いていく。