神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

sideジュリス

ーーーーー…一方、こちらはケルディーサの足止めをしているのだが…。

「あらあら。隨分と威勢が良かったのに…。この程度?」

「…くそっ…」

めちゃくちゃ煽られているが、この体たらくじゃ言い返すことも出来ない。

この女…悪魔みたいに強いぞ。

いや、天使なんだけど…。

俺も、多少腕には自信があったはずなのに…。…まるで子供と大人の稽古だ。

「多少はやるようだけど…もう飽きたわ。そろそろ終わらせてあげる」

「…」

マズいぞ。

ベリクリーデが戻ってくるまで…もう少し、粘りたかったのに。

これ以上は…無理かもしれない。

ごめん、ベリクリーデ…。俺が不甲斐ないばかりに。

…って、簡単に諦めてたまるか。

「まだ…終わって、ないっつーの」

俺は『魔剣ティルフィング』を地面に突き刺し、杖代わりにして立ち上がった。

「勝手に終わらすんじゃねぇよ…!」

「…ふぅん。まだ頑張るのね」

当たり前だ。

俺だって、それなりに長く修羅場を潜り抜けてきたんだ。

そう簡単に諦めてたまるか。

「…力を貸してくれ、ユリヴェーナ…!」

俺は、この魔剣を託してくれた、かつての恩人の名前を口にした。

俺もあいつみたいに、この剣で、自分の守りたいものを守る。

二度と失わせない為に…!

「…良いわ。その心意気に応えて…私も本気を出してあげる」

まだ本気じゃなかったのかよ。

「身の程を思い知りなさい、人間…!」

「そっちこそ、思い上がんなよ天使…!」

俺は再び、ありったけの魔力を込めた。

全力出せるのは、多分これが最後だ。

次はない。

良いんだ、次なんかなくて。

今、この瞬間を乗り切ることだけ考えろ。

ケルディーサの、本気の一撃が飛んできた。

「くっ…!」

それは、信じられないほど速く、強く、重かった。

死ぬかと思った。

本当に、死ぬかと思った。

それでも何とか受け止められたのは、『魔剣ティルフィング』にありったけの魔力を込めていたからだ。

そうじゃなかったら、あっという間に俺は首を跳ね飛ばされるところだった。

受け止めはしたけど、それが限界だった。

と言うか、完全には受け止めきれなかった。

「かはっ…」

思わず、俺は『魔剣ティルフィング』を取り落とした。

…さすがに、もう、限界だった。

一瞬目の前が真っ暗になって、その場に膝をついた。

…やべぇ。

「…頑張ったわね。今、楽にしてあげるわ」

人間の敵う相手ではない。

ケルディーサは、蛇腹剣を振り上げた。

とどめの一撃が、今、振り下ろされようという時。

俺は怖くはなかった。ただ、俺の頭の中にあるのは。

俺がもしいなくなったら、きっと泣いて悲しむであろう彼女のことだけだった。





…しかし。


俺に向かって振り下ろされたはずの、とどめの一撃は。

ガキンッ!!と激しい轟音がして、何者かに弾き飛ばされた。



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