神殺しのクロノスタシス7〜前編〜
10章

side天音

ーーーーー…学院長室での話し合いの後。

僕とナジュ君は、一緒に聖魔騎士団魔導部隊の隊舎に向かった。

令月さん達が、『アメノミコト』に連れ去られたことを、聖魔騎士団のみんなにも報告する為に。

それから…探索魔法使いのエリュティアさんに、二人の正確な行方を探してもらう為に。

突然やって来た僕達に驚きながらも、聖魔騎士団の人々は、事情を話すとすぐに対応してくれた。

特にエリュティアさんは、すぐさま探索魔法を使ってくれた。

やはり、二人は探索魔法で辿れる『痕跡』は、ほとんど残していなかったようだ。

だけど、完全ではない。

魔物ではない、人間である限り、完全に『痕跡』を消すことは出来ない。

かすかな『痕跡』を拾い上げ、繋ぎ合わせ。

エリュティアさんから得られた答えは、やはり。

令月さん、すぐりさん共に…国境を越えて、ジャマ王国に向かったということだった。

予想していたことではあったけど。

はっきりその答えを聞くと、やはりショックは大きかった。

「…そっか…。…命は、無事なんだよね?」

「ジャマ王国に入った後も『痕跡』が消えていないから、生きているとは思うよ」

と、エリュティアさん。

…良かった。

生きていてくれるなら、この際何でも良いよ。

「それから…一つ気になることが」

「え?」

「令月さんとすぐりさん以外に…もう一人分、別の誰かの『痕跡』が残ってるんだ」

「…!」

別の誰か、って、それ…。

「もしかして…令月さんとすぐりさんを連れ去った犯人?」

「恐らくは…」

あの二人を…同時に連れ去ったのだろうか。その人が…。

「おおかた、『アメノミコト』の暗殺者…すぐりさん達の元同僚、ってところですかね」

と、ナジュ君が推測した。

本当に『アメノミコト』の暗殺者なら、僕達の目を盗んで国境を越え、こっそりツキナさんに手紙を託す…なんてことは、難しくも何ともないだろう。

「くれぐれも気を付けて。何かあれば、聖魔騎士団もいつでも力になるから」

「ありがとう、エリュティアさん」

探索魔法を使って、二人の行方を調べてくれただけでも充分だよ。

これで、僕達は迷わずに令月さんとすぐりさんを助けに行ける。
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